【Power Apps】「QRコードを利用した備品管理」のご紹介

2022.12.09
【Power Apps】「QRコードを利用した備品管理」のご紹介

こんにちは、MS開発部の市川です。

皆様は備品を管理をするとき、どのような方法を用いていますでしょうか?
実は、備品管理はMicrosoft Power Appsを活用することで、効率的に運用することが可能となります。
今回は、そんなMicrosoft Power Appsを活用して備品を管理する方法についてご紹介します。

【2022年12月投稿】
今回ご紹介するアプリよりも小規模範囲での運用を目的とした、
【Power Apps】「Dataverse for Teams 版備品管理」のご紹介
についての記事を投稿いたしました。
よろしければそちらも併せてご覧ください。

社内業務のDX

最近DXが注目されている中で、会社の備品をExcelやAccess、
備品管理専用のサービス等で管理している会社は少なくないと思います。

しかし、ExcelやAcessを用いた備品管理ですと管理者がデータ管理を行う際に、
管理者から個人への確認や手作業でのデータ入力によるデータ不備、棚卸の時期の確認など何かと負担が多くなります。
また、備品管理専用のサービスを利用されている場合は、データがそのサービスに保管される事となり、社内で保有するデータではなくなります。

そこで社内業務DXの一環として、
PowerPlatformをベースにQRコードを用いた備品管理アプリケーションを作成しました。
使用した製品は以下の4つです。

  • Microsoft Power Apps キャンバスモバイル(以下、「Power Apps」)
  • Microsoft Power Apps モデル駆動型(以下、「モデル駆動型」)
  • Microsoft Dataverse(以下、「Dataverse」)
  • Microsoft Power Automate(以下、「Power Automate」)
※DXとは、
デジタルトランス・フォーメーションの略称であり、データやデジタル技術を活用することで、
新しい価値を生み、あるいは業務プロセスや組織を変革し、競争上の優位性を確立することです。

(QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。)

備品管理アプリ詳細

今回、以下6つのステップで備品管理アプリを作成しました。
  1. 独自のQRコードで備品を管理
  2. Dataverseで備品のマスタデータを管理
  3. Power Apps キャンバスモバイルで備品のレンタル・返却
  4. Power Automateによるメール自動送信機能
  5. Power Apps モデル駆動型で備品状態の可視化
  6. ソリューション環境変数を用いて運用負荷軽減

上記について、簡単に作成したアプリケーションを紹介していきます。

1.独自のQRコードで備品を管理

管理者側はラベルライターを使用して、
テキストデータを持たせたQRコードを生成し、備品に貼り付けて管理します。
その際、QRコードに持たせるテキストデータは
管理者側が作成した採番ルールに則る、任意のもので構いません。

 

2.Dataverseで備品のマスタデータを管理

備品のマスタデータは、Dataverseで管理します。
管理者側は、先ほど発行したQRコードのテキストデータや、
各製品が元々持っているデバイスID、メーカーやメモリー等を登録します。
データにデバイスIDを登録することで、一意性を持たせて管理することができます。

作成したDataverseはモデル駆動型アプリを作成することで、
簡単にデータの閲覧や編集を行うことができます。

モデル駆動型を利用する事のメリットとして、

  • Dataverseにてテーブルを使用することで容易にモデル駆動型アプリを作成可能
  • Datavarseにテーブルを作る為、同一環境内の別アプリケーションからデータの利活用可能
  • エクスポート&インポート機能が利用可能
  • フィルター機能が利用可能
  • ビュー機能が利用可能
  • ダッシュボード機能が利用可能
という点が挙げられます。

反対にデメリットとしましては
Microsoft 365系のライセンスだけでなく、Power Appsの専用ライセンスが必要 という点です。

※Dataverseとは、Microsoftが提供するビジネスアプリケーションデータを格納できる、
クラウドベースのストレージスペースのことです。(旧称 Common Data Service)

※モデル駆動型アプリとは、
Power Appsアプリの一つで、Webベースの管理者向けのアプリケーションです。
ノーコードでアプリに追加するデータの構成により作成することができ、
グラフ作成に特化しており、追加したデータによりレイアウトが構成されます。

管理者側が使用する、モデル駆動型アプリ

3.Power Apps キャンバスモバイルで備品のレンタル・返却

一般的な備品管理の方法としては、備品管理者(あるいは備品管理部署)が
利用者から利用情報を集計し、エクセル等に登録していくという方法です。

しかし、Power Appsを活用することで、
管理者を通すことなく、各々の利用者がデータテーブルに直接情報を登録することが可能となります。
また、利用者はスマートフォンで備品利用並びに備品返却を行うことができるようになります。

データテーブルへの登録方法
備品の利用開始時にカメラを使用し、
「1.独自のQRコードで備品を管理」で貼り付けたQRコードを読み取りを行うか、
直接ドロップダウンからQRコード番号を選択します。
※保管場所、※返却予定日、※備品画像、備考を入力したら登録します。
返却時には※返却理由を登録します。(※は必須入力項目となります。)

※利用時のQRコード読み取りについて、
マスターテーブルに情報を結び付けていないQRコードは、登録できないようになっております。

利用者が使用するPower Appsキャンバスアプリ

備品管理者側は、モデル駆動型アプリにて、全体のレンタル状況を把握することができます。

レンタル履歴テーブルのビューには、
「全レンタル履歴」「レンタル中」「返却済み」「返却期限切れレンタル者」があり、
備品のレンタル経歴を残しておくことができます。

管理者側が使用する、モデル駆動型アプリ

以下は弊社が行っていた棚卸作業の工程です。

左側が従来の管理方法で、右が今回作成したアプリケーションです。
右側の緑の部分「自動」については、
次の「4.Power Automateによるメール自動送信機能」でご確認ください。

このように、PowerAppsを使用することで管理者の負担を軽減し、
尚且つ簡単に備品の管理を行うことができます。

 

4.Power Automateによるメールの自動送信機能

Power Automateフローを作成することで、
備品レンタル時に、管理者と利用者の間で発生する依頼や確認といったメールのやり取りを、自動化することができます。
例えば、新規利用時や返却時、利用期間の延長時に、備品管理者宛に報告メールが送信されます。
また、返却期日間近や超過時には、備品利用者宛に報告メールが送信されます。

例:レンタル者が備品を返却した際に管理者に送られるメール

5.Power Apps モデル駆動型で備品状態の可視化

集めたデータを基に備品の状態をグラフにして、ダッシュボードを作成しました。
グラフを作成する方法としては、
Dataverseの標準機能で作成する、またはPower BIを使用して作成する2種類の方法があります。

Power BIを用いることでより複雑な条件を指定してグラフィカルに表現することも可能ですが、
Power BI Pro ライセンスが別途必要となるため、今回はDataverseの標準機能で作成しました。

今回、ダッシュボードには以下のグラフを作成いたしました。
 1. 備品種類別、および貸出状況別の備品数(棒グラフ)
 2. PC セキュリティソフトの内訳(円グラフ)
 3. PC メーカー内訳(円グラフ)
 4. Wi-Fi メーカー内訳(円グラフ)
 5. スマートフォン メーカー内訳(円グラフ)
 6. ヘッドセット メーカー内訳(円グラフ)
 7. Wi-Fi中継器 メーカー内訳(円グラフ)

このように可視化することで、一目で備品の状態を確認することができます。

備品種類別、および貸出状況別の備品数

PC セキュリティソフトの内訳

6.ソリューション環境変数を用いて運用負荷軽減

備品管理アプリでは、Power Automateのフローと
Power Appsのキャンバスアプリでソリューション環境変数を使用しています。

※環境変数とは、
名前の通り、環境(ソリューション)内で使用できる変数のことで、
環境変数として値を設定することで変更が容易になります。
なお、前提条件としてソリューションを作成する必要があります。

今回、以下3つの環境変数を作成しました。
「レンタル期限」:備品のレンタル期限(既定で90(日)と設定)
「承認者アドレス」:承認メールの送信先アドレス(新規レンタル・返却・登録情報変更メール)
「CCアドレス」:承認メールのCCアドレス(新規レンタル・返却・登録情報変更メール)

環境変数の値は、アプリ一覧画面 > 環境変数を開いて、

現在値に任意の値を入れて保存をするだけで、簡単に変更することが可能です。

まとめ

今回は、QRコードを利用した備品管理アプリについてご紹介いたしました。
ご興味ありましたら下記もご一読頂ければ幸いです。

■Power Platform サービス紹介
Power Platform DX推進
Power Platform 導入支援サービス

■製品紹介
Power Apps 備品管理アプリ

■資料ダウンロード
Power Apps 備品管理アプリ

■ブログ
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また、今回ご紹介させていただいたアプリケーションや、
Power Platformについて興味をお持ちいただいた方は、下記からご連絡ください。

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。

以上、最後までご愛読いただき
ありがとうございました。

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