マイクロソフト製品における テナント・契約・サブスクリプション とは? それぞれの関係性を整理してみよう!

2025.04.08
マイクロソフト製品における テナント・契約・サブスクリプション とは? それぞれの関係性を整理してみよう!

こんにちは、MS開発部の渋谷です。

この記事を読んでいる方は、マイクロソフト製品の専門用語に頭を悩ませているのではないでしょうか。

マイクロソフト製品を扱う上では様々な専門用語や概念に対する理解が必要になります。一見堅苦しく感じることもあるかもしれませんが、基本的なことを正しく理解をしていれば、様々なケースに柔軟に対応することができます。

本記事では、マイクロソフト製品を扱う上で必ず登場する3つの要素 「テナント」・「契約」・「サブスクリプション」について整理をしていきます。

(※本記事は2025年3月時点での情報を元にしています。最新情報はマイクロソフト公式ドキュメントをご確認ください。)

結局テナントってなに?

Microsoft 365やAzureを扱っていて必ず耳にする言葉の一つがテナントかと思います。様々な人が様々なな意味合いで使う言葉のため非常に抽象的なイメージを持ちがちな言葉ですが、端的には組織の単位、またはプロジェクトの単位を表す枠組みと表現できます。組織もしくはプロジェクト単位で構成されるため、IDセキュリティ境界といった意味合いでテナントという言葉を使用する人もいます。

マイクロソフトの世界で「テナント」という言葉を耳にした場合、最も多くの割合ではEntra ID テナント(旧 Azure AD)のことを意味しています。企業で扱われているEntra IDは「xxxx.onmicrosoft.com」という形式のドメインで管理されており、ユーザーである社員のアカウントが管理されています。

文脈やその人の立場によっては、「Microsoft 365 アカウント」や「専用のスペース・環境」といった全く異なる意味合いで「テナント」という言葉が使われることもあるため一言では定義仕切れない曖昧な言葉という理解でよいかと思います。本記事では、最もよく使用される意味合いである「Entra ID テナント」を「テナント」という言葉で表現します。

テナントとサブスクリプションの関係

テナントとサブスクリプションは1:nの関係にあります。「テナントは組織の単位を表す枠組み」という前章での定義に基づくと、特殊な要件が無い限りは一つの組織で一つのテナントというのが一番管理はしやすいかと思います。

組織によっては社外の関係者を自社のテナントに招待したくないといった理由で、プロジェクト単位でEntra IDテナントを作成するといった運用をするケースもあります。そのような運用法が正しくないということは無いのですが、例えばAzureの場合、Azureサブスクリプションを作成する方がEntra IDを作り管理するよりも楽なので、Azureサブスクリプションをプロジェクトを管理する単位とした方が運用しやすいケースが多いかと思います。

テナントの配下にはMicrosoft 365サブスクリプションやAzureサブスクリプションが紐づけられます。テナントとサブスクリプションが紐づくことによって、ようやくマイクロソフトのサービスを使用できるようになります。

テナントと契約の関係

エンタープライズ契約やCSP契約について検討している人は、「契約に際してテナントについては何を考慮しておけばよいのか?」と悩まれている方もいるのではないでしょうか。もし既に自社環境にEntra IDテナントが存在している場合、契約に際してはテナントのことを意識しすぎなくてもよいというのが結論です。なぜなら、契約に関わるのはテナントではなくサブスクリプションだからです。

例として、インターネットに公開されている「Microsoft Azure利用ガイド」を参照してみましょう。Azureエンタープライズ契約のヒエラルキーが以下の図です。

Azure利用ガイドのリンクはこちら(※クリックすると自動でダウンロードが始まります)

この図を見てみると、アカウント所有者の下にサブスクリプションが記載されており、Entra IDテナントはどこにも出てきません。つまりこれは、ある契約を通じて発行されたサブスクリプションは、その企業が持っているどのEntra IDテナント配下でも作成することができるということを意味しています。Entra IDテナントが複数個ある企業だったとしても、契約は一つで複数のサブスクリプションを複数のEntraID配下に作成をすることができます。

そのため例えばAzureの場合、一つのEntra IDテナント配下に別々の契約を発行元とする複数のサブスクリプションを作成可能ということを意味しています。Azure CSP契約を持っている企業が新しくエンタープライス契約を結ぶ場合、わざわざ新しくEntra IDテナントを作成しなおす必要はなく、今あるEntra IDテナントはそのままでAzureサブスクリプションだけを新しく増やすことができます。

テナントと契約がどのような関係性なのかを理解していないと混乱しがちなトピックですが、契約に直接関係するのはあくまでもサブスクリプションであり、サブスクリプションがテナントと紐づくということを整理できれば、意外とすんなりと理解が進むかと思います。

さいごに

本記事では、マイクロソフト製品を扱う上で必ず登場する3つの要素 「テナント」・「契約」・「サブスクリプション」について整理をしました。契約がテナントに関わるという誤解をしているケースはよくあるので、少しでも本記事の内容が皆様の業務に参考になりましたら幸いです。

以上、最後までご愛読いただき
ありがとうございました。

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