祝! Azure西日本リージョンがアベイラビリティゾーン(AZ)に対応したので試してみた

2025.05.01
祝! Azure西日本リージョンがアベイラビリティゾーン(AZ)に対応したので試してみた

こんにちは、MS開発部の渋谷です。

2025年4月16日(日本時間)にAzure西日本リージョンにてアベイラビリティゾーンの提供が開始されたことが発表されました。Azureを長年使ってきた方、これからAzureの利用を拡大する予定の方々にとっては大変嬉しいニュースだったのではないでしょうか。

本記事ではアベイラビリティゾーンの解説と実際の使い方をお伝えします。

アベイラビリティゾーンとは

アベイラビリティゾーンは、クラウドサービス事業者が提供する物理的に分離された複数のデータセンターの集合です。英語ではAvailability Zoneと記載するため、AZと略称で表記されることがあります。日本語では可用性ゾーンと呼ばれることが一般的です。

アベイラビリティゾーンは1つのリージョン内に構成されますが、各ゾーンは地理的に分離されているため、電源・ネットワーク・冷却などの障害をゾーン内で限定することができます。例えば、アプリケーションやデータベースのレプリカを複数のゾーンに配置することで、一部のゾーンに障害が発生したとしても他のゾーンでサービスを継続できるため、システム全体の可用性を向上させることができます。

Microsoft Azureでもアベイラビリティゾーン(AZ)が導入されています。AzureにおけるAZの特長は以下の通りです。

  1. 物理的分離の保証
    Azureの各アベイラビリティゾーンは、独立した電源、冷却、ネットワークを持ち、地理的に複数km~数十km離れて配置されています。
  2. 高い可用性のSLA
    3つのアベイラビリティゾーンをまたいでデプロイした場合、高い可用性SLAが提供されます。
  3. マネージドサービスのゾーン冗長
    仮想マシン、Azure SQL Database、ストレージなど、主要なIaaSやPaaS製品がゾーン冗長に対応しています。
  4. ゾーン対応リソースの簡単なデプロイ
    リソース作成時にゾーンを選択するだけで、簡単に複数ゾーンにデプロイできます(例:ゾーン1、ゾーン2、ゾーン3)。
  5. リージョン内での障害対策
    同一リージョン内で複数ゾーンを使ってデータを冗長化することで、障害対策やディザスターリカバリーが可能です。
  6. 将来性とリージョンごとの差異
    すべてのリージョンにAZが導入されているわけではありませんが、順次拡大が進んでいます。

元々Azureの日本リージョンでは東日本リージョン(Japan East)のみがAZに対応をしていましたが、先日のアップデートにより西日本リージョン(Japan West)もAZに対応したため、日本国内に閉じた冗長構成が作りやすくなったというメリットがあります。

実際に試してみた

今回はAzure Cosmos DBで試してみます。

Azureポータルでリージョンを「Japan West」を選択し、ゾーン冗長「有効」が選択できるようになりました。

デプロイもスムーズに完了しました。

az CLIを使ってプロパティを確認したところ、isZoneRedundantの項目がtrueになっているので正しく西日本リージョンのAZにCosmos DBがデプロイできたことが分かります。

Azure Cosmos DBの場合、ゾーン1・ゾーン2など特定のゾーンを指定してのデプロイには現状対応していないといった点は注意が必要です。公式ドキュメントにも記載の通り、ゾーン冗長を有効にするとレプリカが複数の可用性ゾーンに分散されるといった展開のされ方をします。

Azure Virtual Machineなど一部サービスではどのゾーンに展開するかを指定することができますが、サービスごとに対応可否が異なるので、要件整理の段階で公式情報を調査しておくことをおすすめします。

アベイラビリティゾーンを設定するメリット

Azure Cosmos DBを例にアベイラビリティゾーン(AZ)を設定するメリットを考察してみます。

Azure Cosmos DBを単一リージョンのみにデプロイする場合、SLAは99.99%です。一方で同一リージョン内でAZを有効化すると、SLAは99.995%となります。つまり月間で停止する可能性のある時間が22分から2.5分程度に大幅に短縮されるといったメリットがあります。更にSLAを向上させるには複数リージョンに展開するといった方法もありますが、ボタンワンクリックの簡単なAZの設定だけでこれだけダウンタイムの可能性を減らすことができるのは、十分なメリットと考えられます。

またコストにおいても、Azure Cosmos DBはリージョンが追加されることによるコスト増が最も大きいため、AZを追加することによるコストと比較をすると高い費用対効果が見込めます。ネットワークトラフィックなど一部追加でかかる可能性のあるコストはありますが全体コストに対するインパクトは小さいため、AZは検討しやすい冗長化のオプションだと言えます。

さいごに

本記事では発表されたばかりのAzureの新サービス「西日本リージョンにおけるアベイラビリティゾーン対応」について紹介をしました。

アベイラビリティゾーンの適用により、データセンターのトラブルや停止に対する回復性が実現されます。特に高可用性が求められるシステムの構築においては重要な機能の一つになっており、今回この機能が西日本リージョンで使えるようになったことでサービス構築の幅が拡がったかと思います。

本記事の内容が少しでも参考になれば幸いです。

以上、最後までご愛読いただき
ありがとうございました。

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