【Azure Storage Mover】AWS S3からAzure Blob Storageへのデータ転送を試してみる

2025.08.04
【Azure Storage Mover】AWS S3からAzure Blob Storageへのデータ転送を試してみる

こんにちは、MS開発部の渋谷です。

生成AIのプロジェクトでRAGを構成するにあたり、データの置き場所をどこにするか悩まれたことはありますか? 特にマルチクラウド環境においては、データをそのままにするか・データを移行して一つの環境でまとめてシステムを作るかはよくある議題かと思います。

マルチクラウドにおける大きな課題はデータ転送料です。特にRAGのような構成の場合データのやり取りが頻繁に発生することも多く、コストに対する懸念は常につきまとうかと思います。

クラウド間のデータ転送にはいくつかの手段があるかと思いますが、本記事ではAzure Storage Moverを使ってAWSからAzureへのデータ転送の方法をご紹介します。

Azure Storage Moverとは?

Azure Storage Moverは、オンプレミスのファイル共有からAzure Blob StorageやAzure Filesへのデータ移行を支援する、フルマネージドなクラウドサービスです。

SMBやNFSプロトコルに対応し、エージェントを使って安全かつ効率的にデータを転送します。GUIベースのポータルで移行ジョブの作成・管理が可能で、進捗状況の可視化やエラーのトラッキングも容易です。Azure Data Boxとの連携により、大容量データの事前搬送もサポートし、ネットワーク負荷を軽減しながら段階的な移行が可能です。これにより、業務への影響を最小限に抑えつつ、クラウドへのスムーズな移行を実現します。

上記の通り、元々はオンプレミスからAzureへのクラウド移行を支援するサービスでしたが、2025年7月のアップデートにてクラウド間のデータ移行機能が新しく発表されました。英語ではCloud-to-Cloud Migrationという機能名のようです。

本記事ではAWS S3上のデータをAzure Storage Moverを使ってAzure Blob Storageに転送するための設定方法を紹介します。

実際に試してみた

それでは早速試してみましょう。

まず事前準備として、お使いのAzure Subscriptionに適切な権限とリソースプロバイダーの登録が必要です。Azure Subscriptionには共同作成者ロールが必要です。また、以下4つのリソースプロバイダーを登録する必要があります。

  • Microsoft.HybridCompute
  • Microsoft.HybridConnectivity
  • Microsoft.AwsConnector
  • Microsoft.AwsConnector

リソースプロバイダーはAzureポータルの「サブスクリプション」のページから登録することができます。

Azure Storage Moverリソースを任意の名前でデプロイします。

デプロイが完了したら「マルチクラウド移行」タブから「マルチクラウド コネクタを作成」を選択します。

AWSアカウントIDなど必須項目を入力し「次へ」進みます。

インベントリの「+追加」をします。複数のサービスを選択できますが今回はS3のみを選択します。

「テンプレートのダウンロード」をし「次へ」進みます。

任意のタグを設定し「次へ」進みます。

内容を確認して「作成」します。

AWSコンソールにアクセスし「スタックの作成」をします。

先ほどAzureポータルからダウンロードしたテンプレートのjsonファイルをアップロードします。

流れに沿って手順を進め、さいごにデプロイが正常に完了したことを確認します。

AzureポータルのStorage Moverの画面にて「すべてのマルチクラウドコネクタを表示」を選択し、正常に接続できていることを確認します。

「ストレージエンドポイント」メニューから「+エンドポイントの作成」をクリックすると先ほど作成したコネクタと接続先の環境にデプロイされているAWS S3を選択することができます。

「ターゲットエンドポイント」タブから「+エンドポイントの作成」をクリックするとデータの保存先であるAzure Blob Storageを設定できます。

「プロジェクトエクスプローラー」メニューから「+プロジェクトの作成」をクリックし任意の名前を設定します。

作成したプロジェクトを選択し「+ジョブ定義の作成」をクリックします。

これまで設定した内容を選択し「作成」します。

作成されたジョブを選択し、「ジョブの開始」をクリックします。

ジョブが正常に完了後、S3に保存していたファイルがBlobストレージに転送されているか確認します。

さいごに

本記事ではAWS S3上のデータをAzure Storage Moverを使ってAzure Blob Storageに転送するための方法を紹介しました。ETLを使っても実現できるとは思いますが、データ加工等の処理はせずシンプルに安くファイルを転送したいといった要件であれば、Azure Storage Moverが有用だと思います。

本記事作成時点ではプレビュー機能となっておりますので、本番運用におけるご利用にはお気を付けください。また、詳細と最新情報は公式ドキュメントをご参照ください。

皆様の業務に少しでもお役に立つ情報をお届けできていれば幸いです。

以上、最後までご愛読いただき
ありがとうございました。

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