Azure AI Foundryに新機能「接続されたエージェント」登場

目次
はじめに
MS開発部の松坂です。AIを活用した業務効率化が進む中、より複雑な業務プロセスを柔軟に処理できる仕組みが求められています。
このたび、Azure AI Foundryに新たに追加された機能「接続されたエージェント(Connected Agents)」は、そうしたニーズに応える強力な拡張機能です。
この機能により、プライマリエージェントが目的に応じて専用のサブエージェントへタスクを委任できるようになり、複雑な業務も効率的に自動化できます。
「接続されたエージェント」とは
接続されたエージェントは、メインエージェントが自然言語を通じてサブエージェントを呼び出す仕組みです。各サブエージェントはそれぞれ特定のタスクに特化しており、タスクごとの分業が可能になります。
たとえば、次のようなシナリオを想像してみてください:
ユーザー:「A社の株価を調べて、財務レポートを要約し、英語に翻訳して送ってください」
このリクエストに対して、プライマリエージェントが以下のように処理を振り分けます:
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株価取得エージェントがリアルタイムの株価を取得
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財務要約エージェントが決算情報を要約
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翻訳エージェントが要約結果を英訳
これらのサブエージェントが連携することで、一連の複雑な業務を分担・最適化しながら、ユーザーに一つのアウトプットとして返すことができます。
主な特徴
「接続されたエージェント」には、以下のような利点があります:
● ワークフローの簡素化
業務フローを役割ごとに分割することで、設計の手間を抑えつつ、専門性の高い処理を実現します。
● カスタムオーケストレーション不要
エージェント間のやり取りは自然言語で行われるため、煩雑なルーティングやフロー制御の実装は不要です。
● 高い拡張性
メインエージェントに変更を加えることなく、追加のエージェントを柔軟に組み込むことが可能です。
● 信頼性とトレーサビリティの向上
各エージェントの責任範囲が明確になるため、ログの追跡やトラブルシューティングが容易になります。
● 柔軟な構成方法
ノーコードのポータルUIや、Python SDKを用いた設定により、さまざまな開発スタイルに対応します。
想定ユースケース
この機能は、次のようなシナリオで特に有効です:
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チャットボットが単一の処理だけでなく、複数の関連業務を同時に処理する必要がある場合
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翻訳・要約・データ抽出などの異なるタスクを組み合わせるような複雑なワークフロー
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将来的に機能を追加・変更する可能性があるプロジェクト(スケーラビリティ重視)
実装の手順
導入は以下のステップで進められます:
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Azure AI Foundryのポータルにアクセス
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エージェントの画面より、セットアップにて「接続されたエージェント」の項目で追加を選択
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接続する別エージェントを設定し、エージェントをアクティブさせる条件を設定します。
これにより、特定の条件を満たしたときのみ特定のエージェントを動作させるといった柔軟な設計が可能になります。
動作例
ナレッジにBing Groundingを設定したシングルエージェントと、そのエージェントと別のエージェントを接続したマルチエージェント構成とで、同じ内容のチャットを実行した場合の挙動を比較します。
・シングルエージェント:Bing Groundingを活用し、すべての処理を単体で実行
・マルチエージェント:必要に応じてBingエージェントを呼び出し処理を分担
このようにマルチエージェント構成を利用することで、より複雑なタスクへの対応が可能となります。
まとめ
「接続されたエージェント」は、Azure AI Foundryを単なるチャットボットツールから、業務全体の自動化を担うプラットフォームへと進化させる新機能です。
これにより、エージェント同士の連携を通じて、より複雑で多様な業務への対応が現実のものとなります。
これからのAI活用において、「役割分担されたエージェントによる協調動作」は重要なコンセプトとなるでしょう。
💡 今後もAzure AI Foundryの進化にご注目ください。導入や技術的なご相談は、お気軽にお問い合わせください。
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