負荷テスト環境を簡単に作成できる! Azure Load Testingとは?

こんにちは、MS開発部の渋谷です。
クラウドネイティブなアプリケーション開発が加速する中で、企業にとって新たな課題が浮上しています。それは、本番環境にデプロイする前に、アプリケーションのパフォーマンスをどう確実に検証するか?という問題です。
ユーザー数の急増やトラフィックのスパイクに耐えられないシステムは、ビジネスに深刻な影響を与えかねません。しかし、従来の負荷テストは環境構築やスクリプト管理に手間がかかり、俊敏な開発サイクルの足かせとなっていました。
この課題に応えるために登場したのが、Azure Load Testingです。
Azure Load Testingは、クラウドスケールでの負荷テストを簡単に実現し、アプリケーションのボトルネックを迅速に特定できます。JMeterスクリプトを活用し、Azureポータルから数クリックでテストを実行できるため、開発チームは本番前に信頼性を確保し、ユーザー体験を守ることができます。
本記事では、Azure Load Testingの仕組みや導入メリット、そして実際にテストを作成・実行する手順を詳しく解説します。
Azure Load Testingとは?
Azure Load Testingは、Microsoft Azureが提供するクラウドベースの負荷テストサービスです。開発チームは、大規模なトラフィックをシミュレーションし、アプリケーションやAPIのパフォーマンスを本番環境に近い条件で検証できます。
このサービスの最大の特徴は、インフラの準備が不要であることです。従来の負荷テストでは、テスト環境の構築やスクリプトの管理に多くの時間とコストがかかっていましたが、Azure Load Testingでは、Azureポータルから数クリックでテストを実行できます。
さらに、Apache JMeterスクリプトとの互換性を備えており、既存のテスト資産をそのまま活用可能です。また、テスト結果はAzure MonitorやApplication Insightsと統合され、ボトルネックの特定やパフォーマンスの可視化が容易になります。
これにより、開発チームは本番リリース前に信頼性を確保し、ユーザー体験を損なうリスクを最小限に抑えることができます。
他サービスとの比較
- オンプレミス型ツール(例:JMeter単体)では、テスト環境の構築やスケールアウトが課題。Azure Load Testingはクラウドスケールで自動的にリソースを確保
- 他クラウドの負荷テストサービスと比べ、Azure MonitorやApplication Insightsとの統合により、Azureエコシステムでの可観測性が強化
- CI/CDパイプラインとの統合が容易で、DevOpsや自動テストに最適
Azure Load Testingならではの特長
- スケーラブルな負荷生成:数千から数百万の仮想ユーザーをクラウドで簡単にシミュレーション
- Azureサービスとのネイティブ統合:Application Insights、Azure Monitor、Azure DevOpsとシームレスに連携
- JMeter互換:既存のJMeterスクリプトをそのまま利用可能
- セキュリティとガバナンス:Azureの認証・認可モデルを活用し、安全なテスト実行を実現
実際に試してみた
Azure Load Testingがどのように動くのか実際に試してみます。
まずは負荷テストをする対象のサンプルアプリケーションを用意します。今回はApp Serviceを立ち上げました。(既にお持ちのWebアプリがある方はそちらをご利用ください)

Azure Load Testingをデプロイします。(東日本リージョンにもデプロイ可能です)

「テスト」タブから「+作成」の中の「URLベースのテストを作成する」を選択します。

詳細設定を入力します。「要求の追加」の「URL」欄に負荷テストのターゲットとなるWebアプリのエンドポイントを入力します。

内容を確認し「作成」します。

しばらくするとテストの結果をメトリックで確認することができます。

ロードテストの実行が完了するとテスト結果の統計情報を確認することができます。サーバーの構成をするとAIによる分析のまとめも確認できます。

さいごに
今回は負荷テスト実行のマネージドサービスであるAzure Load Testingを紹介しました。
今回試してみた簡易的なURLベースの負荷テストに加えて、JMeterやLocustのスクリプトを使用したテストの実行も可能です。
AzureでWebアプリを運用している場合、CI/CDにロードテストを組み込むこともできるのでより堅牢なアプリケーション運用ができますね。
最新情報は公式ドキュメントをご参照ください。
皆様の業務に少しでもお役に立つ情報をお届けできていれば幸いです。
以上、最後までご愛読いただき
ありがとうございました。
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